女性の権利のため、男女平等な社会の実現を掲げて奮闘する弁護士。
私も、そんな弁護士の1人。
でも・・・
ここで、3つ、正直に告白したいと思います。
まず、1つ目。
小さいころから、いつかは、結婚して、旦那さんの名字に変わることに、どこか憧れのようなものを抱いていました。
そのため、結婚したら、当然のように、私の方が、旦那さんの名字を名乗るようになると考えていました。
婚姻届を出す時、法律上は、奥さんが旦那さんの名字を名乗るのか、旦那さんが奥さんの名字を名乗るのか選択することになっています。
しかし、弁護士である私ですら、「私個人」の人生としては、選択するという発想すら、ほぼ皆無でした。
2つ目。
ご承知のとおり、私は、弁護士になってフルタイムの仕事をしています。
それでも、心のどこかでは、こう思っています。
「私が、料理、掃除、洗濯などの家事もバリバリこなして、素敵で立派な奥様だって思われたい!!」
・・・しかし。
実際には、仕事が忙しくなるほど、仕事と家庭との両立で一杯一杯になったり、雑然とした家を見て悲しくなったり、イライラしてしまったり。
そんな自分に、また自己嫌悪してしまう日もあります。
そして、3つ目。
弁護士になって5年目突入したのを機に、弁護士会の委員会(弁護士会自体の運営、人権問題などの公益活動に取り組むグループのこと)の副委員長やプロジェクトチームの事務局長など、役職・肩書のある仕事をやらないか、という声がかかるように。
とっさに、「私より先輩の弁護士や男性弁護士もメンバーにたくさんいるのに、私に、そんな肩書ある仕事なんて、ほかのメンバーにどう思われるだろう?生意気だって思われないかな・・・?・・・ム、ムリ!!」
と不安いっぱいになって、一旦、打診を断ろうとしてしまいました・・・。
(結局、先輩弁護士に背中を押してもらって、引き受けた、という始末・・・)
仕事大好きで、周りの人・社会に貢献し、自分も成長していくことが大好きだった、私の父。
ずっと専業主婦として、毎日のご飯はもちろん、手作りおやつも用意して、趣味の手芸をしながら、いつもにこにこ笑いながら、父を支え、私を育て、あったかい家庭を守っていた私の母。
たぶん、私は、父にも母にも、とても影響を受けているのだと思います。
だからこそ、父のように、仕事を通じて社会貢献したいと思う自分がいる一方で、母のように、温かい家庭を守る、かわいらしい素敵な奥様でもありたいという自分もいて。
2人の自分が必死にバランスを取ろうとしながらも、どこか、矛盾するようなアンバランス感があって。
ときどき、自分でもよくわからなくなったり、苦しくなってしまったりするときがあります。
さて。
「どうして、いきなり、こんな告白を??」
と思われた方も多いかと思いますが。
それは、
「LEAN IN(リーン・イン)~女性、仕事、リーダーへの意欲」(シェリル・サンドバーグ、日本経済新聞出版社)
という本を読んだからなんです。
作者のシェリル・サンドバーグさんは、なんと、フェイスブックの最高執行責任者(COO)!!
フェイスブックに加わる前は、グーグルの副社長やアメリカ財務省首席補佐官も務めたという経歴。
そして、2児のママ。
こんな、すんごいキャリアの女性。
本屋で、この本を見つけたとき。
「さぞかし、自信満々で、自分の道を切り開いていったんだろうなあ~」なんて思いつつ、パラパラとページをめくってみました。
すると、
成功した自分が周りから、はしたないと思われないか、不安で仕方なくなり、自分から昇進などのチャンスを断ってしまうという「内なる障壁」についての経験談があったり。
自分の業績を誉められても、どこかで、本当はたいした能力もないのに誉められてしまったという罪悪感を抱き、いつか、化けの皮がはがれるに違いないと感じてしまったりするということの指摘とそれに関するエピソードが紹介されていたり。
「!!!」
率直に言って、私は、すごく救われた気持ちになりました。
あの有名なフェイスブックのトップの地位にいる人でさえ、自分のキャリア・能力に自信が持てずに、それでも、迷いながら、進んできたという事実に!!
いわんや、わたしをや(笑)。
「これは、即買いだっ!!!」
250ページくらいの本ですが、夢中になって、一気に読み切ってしまいました。
このブログを読んでくださっている方は、たぶん女性の方が多いのかな?と思います。
作者のシェリル・サンドバーグさんや、私のように、仕事を続けるという選択をしながら、家庭との両立に日々奮闘している方もいるでしょう。お子さんがいる方だと、なおさら忙しい毎日を過ごしていることでしょう。
また、専業主婦の方も、たくさんいらっしゃると思います。
本当は、仕事を続けたかったけれども、家庭のことを理由にあきらめてしまった方。
本当は、専業主婦でずっといたかったけれども、経済的な理由などから、働きに出なければならないという方もいるかもしれません。
仕事を続けるにしろ、仕事を辞めて家庭に入るにしろ、男性も女性も、自分で自分を責めることや罪悪感から解放されて、自分の価値観・個性に従って、道を選べる社会にしよう!という力強いメッセージが込められた1冊です。
タイトルの「LEAN IN(リーン・イン)」というのは、「一歩踏み出す」という意味とのこと。
きっと、わたしみたく、いっぱい共感したり、救われた気持ちになったり、「これからもがんばろう!!一歩、踏み出せ、わたし!」という気持ちになれたりすると思います。
出版社のまわしものでもなんでもありませんが(笑)、とってもオススメです
気になった方は、ぜひ、読んでみてくださいね☆
ちなみに、女性が仕事を続けるうえで、「パートナーをほんとうのパートナーに」という章があります。
男性の家事・育児参加が必要であること、そして、男性に「やってあげる」とか「趣味で家事・育児を『手伝う』」という意識をもつのではなく、自分の責任・仕事として果たしてもらうために、女性が注意しなければならないことも書かれています。
ぜひとも、女性だけではなく、男性にも読んで欲しいものですね!!
ここの章に、しおりをはさんで、バッチリ旦那さんの視界に入るところに、そっと本を置いておく、なんて、作戦はどうでしょう(笑)。