前回のブログ「名前の魔力」で、ちらっと離婚後の名字のお話をしました。
今回は、この【名字】の話について、もう少し詳しくご紹介したいと思います。
ここで登場するのが・・・
宇佐木 はなこ さん!!
ある日のこと。
宇佐木 はなこ さんは
熊田 たろうさんと
運命的な出会い
2人(2匹?)は、結婚
はなこさんが、名字を 宇佐木 から 熊田 に変更することにしました。
2人(2匹?)の間には、カワイイ娘 みみちゃん も生まれました。
しかし!!!
そんな幸せな日々は長くは続きませんでした・・・
はなこさんとたろうさんは、残念ながら、離婚することに・・・
娘のみみちゃんの親権者は、はなこさんになりました。
~ストーリー1~
はなこさんの名字は、離婚すると、どうなるのでしょう??
はなこさんは、離婚と同時に、元々の名字に戻ります。
つまり、はなこさんは、「熊田 はなこ」 → 「宇佐木 はなこ」 になります。
↓
では、娘のみみちゃんの名字は、どうなるのでしょう?
親権者がはなこさんなのだから、みみちゃんも、「宇佐木」に変わるのでしょうか??
いいえ。
正解は、「熊田 みみ」のまま。
お母さんのはなこさんとは違って、みみちゃんの名字は、親の離婚と同時に「宇佐木」になるわけではありません。
そのため、戸籍も、みみちゃんは、「熊田たろうさん」の戸籍に入ったままになります。
~ストーリー2~
はなこさん:「私がみみと一緒に暮らすのに、私が『宇佐木』で、みみが『熊田』で名字が違うなんて、不便だわあ・・・。みみにも、『宇佐木』を名乗らせたいわあ。」
そんなときには。
家庭裁判所に、「子の氏の変更の許可審判申立て」
という手続をします。
家庭裁判所がOKを出せば、子どもの名字を変更することができます。
親の離婚がきっかけで、一緒に住んでいる親と子どもの名字が違ってしまった、という場合には、特に問題なく、裁判所の許可が出ます。
そこで、はなこさんも、家庭裁判所に、子(みみちゃん)の氏の変更の許可審判申立てをし、家裁の許可が出ました。
つまり、みみちゃんは、「熊田 みみ」 → 「宇佐木 みみ」 になります。
市町村役場に名字を変更したという届出をすれば、みみちゃんは、「熊田たろうさん」の戸籍から、「宇佐木はなこさん」の戸籍に入ることになります。
↓
~ストーリー3~
はなこさん:「『熊田』で仕事をしてきたから、お客様にも「熊田はなこ」の方が定着しているのよねえ。急に、『宇佐木』に戻るのはちょっとねえ・・・離婚した後も、『熊田』を名乗りたいわあ。」
そんなときには。
はなこさんが、離婚から3か月以内に、市町村役場に「婚氏続称の届出」をします。
子の氏の変更と違い、家庭裁判所の手続きは不要。
市町村役場に、届出用紙が置いてあるので、これに必要事項を記入して提出するだけでOKです。
そこで、はなこさんは、役所に離婚届を提出するときに一緒に、婚氏続称の届出を出しました。
その結果、はなこさんは、離婚後も、「熊田 はなこ」のまま。
戸籍は、「熊田はなこさん」用の新しい戸籍が作られます。
さて。
親権者のはなこさんも、「熊田 はなこ」。
子どものみみちゃんも、「熊田 みみ」。
同じ「熊田」なんだから、みみちゃんは、ソッコー「熊田 はなこさん」の戸籍に入るんでしょ??
そんな声が聞こえてきそうですが、実は、そうではありません。
よーく、絵を見てください。
はなこさんは、クマの帽子をかぶっていますよね。
はなこさんは、元々は「宇佐木」さん。
婚氏続称で「熊田」になったとしても、
正確には、「(クマの帽子をかぶっている)熊田」さん というイメージ。
他方、みみちゃんは、クマの帽子をかぶっていません。生まれながらの生粋のクマ。
そのため、みみちゃんは「(生粋のクマの)熊田」なのです。
戸籍上は、一見、「熊田」と「熊田」で同じように見えても、
「(クマの帽子をかぶっている)熊田」と「(生粋のクマの)熊田」と区別するので、名字が違うときのような扱いをします。
その結果、みみちゃんは、当然には、「熊田 はなこさん」の戸籍には入ることができません。
じゃあ、みみちゃんを「熊田 はなこさん」の戸籍に入れたいときは、どうしたらよいの??
答えは、お母さんと子どもの名字が違う場合(ストーリー2)と同じように考えます。
つまり、家庭裁判所に、「子の氏の変更の許可審判申立て」が必要。
家裁に対して、「(生粋のクマの)熊田」から「(クマの帽子をかぶっている)熊田」に名字変更することの許可を求めることになります。
(ちなみに、申立書には「『熊田』から『熊田」』への氏の変更を求める。」と書きます。何だか、変な感じですけどね・・・)
その結果、みみちゃんは、「(生粋のクマの)熊田 みみ」→「(クマの帽子をかぶっている)熊田 みみ」になります。
これでようやく、みみちゃんは、「熊田たろうさん」の戸籍から、「熊田はなこさん」の戸籍に入ることができるのです。
↓
余談ですが、スケッチブックや色画用紙を取り出して、頑張ってお絵かきしたり、クマの帽子を切り抜いたり。
なんとなく、幼稚園の先生のような、やさしい気持ちになりました・・・
実物で、はなこさんやみみちゃんに、帽子をかぶせたり、取ったりして遊んでみたいという方は、遠慮なくお声かけください(笑)。