離婚の基礎知識ブログシリーズ。
財産分与のつづきです。
財産分与のつづきって言うけど、
前の話が、遠い昔すぎて、なんだっけ???
という方も、
なんとなく記憶にあるような?という方も、
ぜひ、まずは、財産分与って、どんな制度だったか、
ざっと、復習してみましょう。
2018年7月27日ブログ
「離婚するときに財産分与って、よく聞くけど・・・そもそも『財産分与』って、どんな制度なの?~離婚に伴う財産分与①」
を、どうぞっ
また、このブログでも紹介していますが、
手前味噌ながら、
「離婚の基礎知識」ページの
「第6章 財産分与~その1 全体像」も、わかりやすいかと思うので(えへっ!)、ぜひともご参照を・・・
ちなみに、離婚相談のときに、
財産分与が重大な問題になるケースの場合には、
財産分与の仕組みについて、わたくしやすえり弁護士オリジナルリーフレットもお渡ししています
では、財産分与の仕組みについて、復習してくださったと信じて、
本日の本題へ・・・
財産分与の問題になるとき、
対象となる財産(資産)の代表格は、
預貯金。
預貯金口座を、全く開設したことないなんて人、まず、いないですよね。
財産分与の対象は、
名義にとらわれずに、夫婦が協力して築いた財産かどうかを考えます。
そのため、財産の名義が、夫や妻の片方名義になっていたとしても、
必ずしも片方だけの財産である(特有財産)とはなりません。
むしろ、離婚するとなったときに、
夫名義であろうと、妻名義であろうと、預貯金口座がある。
そうなったら、
基本的には、財産分与の対象財産となるんだろう、と考える。
いや、これ違うよ、特有財産だよ、などという場合には、その主張をするひとが立証する。
もしくは、相手から、まあ、対象から外しても良いよというOKをもらう。
そうなったら、分与対象から外れる。
というのが、基本的な考え方です。
「離婚の基礎知識」ページの
「第6章 財産分与~その1 全体像」でもチラッと触れていますが、
預貯金、
特に名義をめぐる問題でよく出てくるのが、
子ども名義の預貯金は、財産分与の対象になるのか?
という話。
子ども名義なんだから、
すぐさま、当然に、子ども固有の財産になるんでしょ?
財産分与の対象外ですよね?
となるとは限りません。
その子ども名義預貯金について
○ 預貯金の原資
○ 預貯金の趣旨・目的
○ 金額
○ 子どもの年齢
○ 預貯金の管理状況 など
を考えて、
子ども固有の財産(=財産分与の対象から外す)か、
それとも、
形式上は子ども名義預貯金だけど、実質的には、夫婦共有財産(=財産分与の対象になる)のか
判断することになります。
判断は、あくまで、ケースバイケース。
100%この通りというわけではないのですが、
参考に、よくある例と、おおよその判断傾向を挙げてみます。
例1
夫や妻の収入をやりくりして、将来に備えて、お子さん名義で貯金してきました。
その預貯金口座のお金の出し入れは、親がやっています。
子ども名義の預貯金って、こういうケースが多いように思います。
これは、基本的に、夫婦共有財産(=財産分与の対象になる)と考えます。
例2
児童手当(こども手当)を、子ども名義口座にずっと貯めているというケース。
これも、結構みるケース。
「児童」手当、「こども」手当という名前だし、子どものためにもらったお金だから、当然、子ども固有の財産でしょ?!
と思うかもしれませんが、
児童手当やこども手当は、子ども自身にお金を贈与するわけではありません。
子育て中の世帯(家族全体)に支給するお金、という風に考えられます。
そのため、基本的には、そのような趣旨の児童手当(こども手当)が原資ですとなると、
その預貯金口座は、子ども名義であっても、夫婦共有財産(=財産分与の対象になる)と考えます。
ただ、あくまで、ケースバイケースではありますし、だいたいは相手のOKをもらった上で・・・となりますが、
その預貯金口座を貯めた目的によっては、例外的に、財産分与の対象から外す、という対応をする場合もあります。
たとえば、学費のために貯めてきたもので、財産分与対象になって、半分、相手が好き勝手に使っちゃうと、子どもの進学を控えているのに、モロ打撃与えるから、分けちゃうと大変・・・とか。
そのまま、子どもがもう少し大きくなったら、そのまま通帳を渡して、自分で管理させようと夫婦でもともと決めて貯金していた・・・とか。
そんな場合に、財産分与の対象から外した方がいいのでは?と、検討することもあります。
例3
1月という季節柄、おじいちゃん・おばあちゃんや親戚達から、お年玉をもらった!というお子さんも多いでしょう。
お年玉をお子さん名義の預貯金口座で貯金させているというケースも、よくありますよね。
お子さんの年齢、金額や管理状況によって、判断が変わる可能性はあるので、鵜呑みにはして欲しくないですが、
お年玉を貯めてきた預貯金口座というのは、一般的には、お子さん固有の財産(=財産分与の対象から外す)となることが多いかな~と思います。
例4
お子さんが高校生。お子さんが自分でアルバイトして、預貯金口座の原資は、主にバイト代。預貯金口座の通帳やカードは、お子さん自身が管理している。
これは、もう、お子さん固有の財産(=財産分与の対象から外す)ことで、問題なさそうですね。
いろいろ細かく申し上げましたが、
実際には、児童手当とお年玉と混ざり合ってます、なんてケースも少なくなかったりもして、
結構、弁護士から見ても、判断が悩ましいという場合もあります。
結局、ざっくり言っちゃうと、
基本的には、名義を問わず、夫婦共有財産とみなす。
個別の事情を丁寧に検討して、
子ども固有の財産だと判断されるときには、例外的に、夫婦共有財産から外すこともある。
こんな感じに理解しておいても、良いのかもしれません。
というわけで。
今日のまとめ!!!
財産分与の対象財産話で、代表格である預貯金。
基本的には、夫名義だろうと、妻名義だろうと、夫婦共有財産とみなし、財産分与対象財産となる、と考える。
子ども名義の預貯金の場合、当然に子ども固有の財産になるわけではなくて、
預貯金の原資、趣旨・目的、金額、子どもの年齢や預貯金の管理状況などから、
ケースバイケースで判断する。
ということを覚えておきましょう!!!