今回のブログのタイトルを見て・・・
まさに私の悩みだわ!!!
とピンときた女性・・・
まあ、まずいないですよね(笑)
前回2017年4月21日付ブログ「夫の浮気が発覚!浮気を理由に離婚できる?~離婚原因①不貞行為」では、民法が定める5つの離婚原因のうち、1つめである不貞行為(民法770条1項1号)についてご紹介しました。
引き続き離婚原因についてお話するにあたって、一応、民法の順番に従うか~ということで。
今回は、「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)と「配偶者の3年以上の生死不明」(民法770条1項3号)のお話をいたします。
でも、実際に、離婚訴訟で、「悪意の遺棄」と「配偶者の3年以上の生死不明」がガチンコで問題になることは、ほとんどありません・・・
まあ、雑学の1つとしてでも、お付き合いくださいませ・・・
まず、「悪意の遺棄」(「あくいのいき」と読みます。民法770条1項2号)。
夫婦が同居しない(一方的に片方が別居する)+健全な夫婦生活を送るにあたっての協力しないとか、扶助の義務を果たさない(簡単に言うと、生活費を払わない)+倫理的に相当悪質だ!と強く非難される場合。
と解釈されています。
もしかすると、勝手に別居した、家事や育児に協力しない、生活費を渡さないというだけで、十分に倫理的に悪質じゃん!「悪意の遺棄」やー!
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、別居期間が長くなった、家事育児に協力しない、生活費を渡さないといったことが、離婚原因として挙げられることは、少なくありません。
でも、離婚訴訟で、裁判所が「悪意の遺棄」と認めるのは、かなりの狭き門なのです。
そのため、民法770条1項2号「悪意の遺棄」として離婚原因あり!と主張することは、滅多にありません。
実際の離婚訴訟では、民法770条1項5号「婚姻を継続し難い重大な事由」の離婚原因があるといえる事情として取り上げるということが、一般的です。
滅多にないながらも、過去の裁判例では、「悪意の遺棄」を認めたケースもあるので、イメージしやすくなるように、チラッとご紹介します。
たとえば、家族で日本で生活していたのに、夫が勝手に1人アメリカに行ってしまった。妻もアメリカについて行こうとしたら夫に激しく拒否されて、夫はそのまま所在不明&音信不通。生活費も全く支払われない状態がずっと続いたという裁判例。
ほかにも、家族みんなで日本から中国に移住したら、夫が所在不明&音信不通。生活費も全然くれない。残された妻子は、地縁のない中国で途方に暮れて・・・という裁判例とか。
「悪意の遺棄」を認めたケースは、やたら、ワールドワイド!(笑)
あとは、珍しくワールドワイドではない裁判例だと、
夫が、住み込みで新聞配達所で仕事をしていた。夫が新聞配達に出掛けたまま、そのまま所在不明に。夫は、勤務先(兼、家)の新聞配達所に妻子を残したまま、無断欠勤・無断退職。後日、妻に、電報で「離婚してくれ」と言うだけで、長期間生活費も全く渡さなかったという裁判例。
「新聞配達所に住み込み」・・・
しかも、「電報」って・・・
「電話」ならまだしも、電「報」ときたかっ!
す、すごい昭和感だぜっ!
っていうところが、個人的にツボでした(笑)
次に、民法が定める5つの離婚原因の3つめ
「配偶者の3年以上の生死不明」(民法770条1項3号)もサラッとご紹介します。
こちらは、生きているか亡くなっているかすら不明。亡くなっている可能性の方が高いという状態が、3年以上経過しているという場合。
おそらくどこかで生きている可能性の方が高いけど、所在不明だ、音信不通だ・・・というのは、さきほどの2号「悪意の遺棄」の問題。
他方、亡くなっている可能性の方が高そうだ、という場合には、3号「配偶者の3年以上の生死不明」の問題。
という感じです。
このように
民法が定める離婚原因の中には
「悪意の遺棄」とか「配偶者の3年以上の生死不明」というものもある。
でも、実際に、離婚訴訟でこの2つがガチンコで問題になることは、滅多にない。
別居、家事育児に協力しない、生活費を渡さないといった離婚原因になりうる問題の多くは、
「婚姻を継続し難い重大な事由」があるかという問題とされることがほとんど。
ということを頭に入れておきましょう