5年ほど前のこと。

私は、とあるお役所を訪れました。

ここは、弁護士であっても顔パス通過は認められていません。

窓口で、入館申込書に、名前や入館目的などをきちんと記入しなければなりません。

その後、少し待つと、案内役の職員さんが、目的の部屋まで連れて行ってくれます。

 

案内役の職員さん: 「安田先生、どうぞ、こちらです。」

2人で廊下を歩いていると・・・

案内役の職員さんが、ふと、私が書いた入館申込書に目をやりました。

 

案内役の職員さん:「あら・・・先生、エリカ様なんですね!!」

 

当時は、沢尻エリカ様の「別に」問題が、一世風靡していたころ。

案内役の職員さんのナイスな一言で、一気に、場の雰囲気が和らぎました。

 

この件に味を占めた(?)私は、最近でも、自己紹介するときに、堂々と

「エリカ様です。バラ

と言ってみたりします。

 

女王様系、ハーフ顔の(沢尻)エリカ様。

他方、目の前の(安田)エリカ様は、おかめ系、のほほん素朴顔。

 

そのギャップのおかげで、みなさん笑ってくれます。

「エリカ様」自己紹介は、私の鉄板ネタです(笑)。

(注:ただし、使用するのは、ウケ狙いが許される場面に限る。)

 

さて。

弁護士として仕事をするにあたり、相談者の方のお名前は、もちろん、きちんと覚えるようにしています。

例えば、相談者「田中花子さん」の場合。

頑張って、「田中花子さん」と、フルネームで覚えるようにします。

それでも、お話するときには、大体は「田中さん」と名字でお呼びします。

 

ただ、女性から離婚相談を受ける場合は例外。

初回相談から、下の名前でお呼びすることが多いです。

初めてお会いした時でも、相談の早い時期から、「花子さんは・・・」などとお話することが多いです。

 

その理由。

まず、1つ目。

離婚相談の場合、奥様が「田中さん」だと、相手方となるご主人も「田中さん」ですよね。

相談にいらした奥様に対して、「田中さんは・・・」と話していると、だんだん、ご主人の「田中さん」のことなんだか、奥様の「田中さん」のことなんだか、よくわからなくなってしまいます。

さらに、姑の「田中さん」まで絡んでいたりなんかしたら、ますます、よくわからないことに・・・寒い

というわけで、離婚相談では、同じ名字の登場人物が多いので、下の名前で話して、誰の話をしているのか明確にする必要性があります。

 

2つ目。

結婚するとき(特に初婚同士の場合)、約97%は、妻の方が、夫の名字を名乗っているとか。

そうなると、離婚するときには、妻が旧姓に戻る、というのが圧倒的多数です。

私が離婚の相談を受けたり、離婚事件を担当したりしてきた方をみても、同様です。

つまり、結婚して「田中花子さん」となっていたが、離婚して旧姓に戻り、「鈴木花子さん」になる、ということが、圧倒的多数。

 

そして、離婚が成立した後も、養育費やお子様との面会のことなど、引き続き、お悩みを聞くこともあります。

そんなとき。離婚した後、名字が「田中さん」から「鈴木さん」に戻ったとしても、「花子さん」は「花子さん」。

そうすると、最初に会ったときから、ずっと「花子さん」と下の名前で呼んでいると、離婚後にお話するときも、引き続き「花子さん」と呼び続けられます。

私もそうですが、呼ばれる花子さんにしても、ずっと「花子さん」と呼ばれ続けているので、違和感がないかな、と思っています。

「それで、養育費を増額したいとのことですが、田中さん・・・いや、今は鈴木さんでしたね。」

なんて会話だと、何だかなあ~って思うので。

 

最後、3つ目。

日常生活では、親しい人以外からは、「田中さん」などと、名字で呼ばれることが多いですよね。

お子様がいらっしゃる方だと、

「最近は、『お母さん』とか、『○○ちゃんママ』ってしか呼ばれないわよ~!」号泣

という方もいるのではないでしょうか?

 

そうなると、逆に、生まれてからずっと慣れ親しんだ、下の名前で呼ばれると、うれしくありません??

 

少なくとも、私は、下の名前で呼ばれるの、好きです。

私は、両親が色んな想いを込めて付けてくれた「英里佳(えりか)」という名前、実はとても気に入っています。

それでも、小さいころから、あだ名は「やすちゃん」「やす」「やすきち(?)」など、名字の安田アレンジばかり。

下の名前で呼んでくれる人は、あまりいませんでした。

ちょっぴり寂しいような。

そのため、冒頭でお話した、ナイスな案内役の職員さんに、「エリカ様」と言われて、私は内心、とてもうれしかったのですLOVE

思わず、「なんて、いい人なんだ!号泣」って、気持ちになりました(笑)。

 

このように、「久しぶりに下の名前で呼ばれると、ちょっぴり嬉しいよね♪」という思いから、女性の離婚相談の場合には、下の名前を呼んでいる、というのもあります。

しかも、離婚相談の場合、かなりプライベートなことに踏み込んだお話をしてもらう必要があります。

相談者の女性に対して、下の名前を呼ぶことで、親しみ感が伝わり、相談者の皆様が話しやすい雰囲気が作れると良いなあと思ったりします。

 

どうか、

「初めて会ったのに、いきなり、下の名前で呼ぶなんて、馴れ馴れしいわねっ!悪魔

って、思われていませんように・・・がっかり

そう祈るばかりです・・・。