夫が浮気していることが発覚!!!
浮気だけでもショックなのに・・・
浮気した張本人の夫から、離婚を求めてきた!!!
私は、離婚したくないけど・・・
離婚しないといけないの???
と、お悩みの女性もいらっしゃるかもしれません。
このような疑問を解消するテーマ。
有責配偶者(ゆうせきはいぐうしゃ)からの離婚請求
について、今回はお話しいたします。
2017年4月21日付ブログ「夫の浮気が発覚!浮気を理由に離婚できる?~離婚原因①不貞行為」では、
民法が定める離婚原因の1つに「不貞行為」(民法770条1項1号)があるというお話しをいたしました。
また、2017年5月16日付ブログ「夫の浮気、行方不明・生死不明・強度の精神病、どれとも違う離婚理由なんだけど、離婚できる?~離婚原因④その他婚姻を継続し難い重大な事由」では、
性的関係まである浮気といえるかは確証ないけど、女性問題があるというときには、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)で離婚が認められる場合もあるというお話しもいたしました。
今までは、夫の浮気(女性問題)が発覚!
ショックを受けた妻は、もう離婚だわっ!と決意。
「妻」が、離婚を求める。
という場面。
今回は、浮気をした張本人である「夫」が、離婚を求めた。
でも、妻は離婚したくない。
そういう場面。
この浮気をした張本人である夫のように、
浮気など結婚生活を壊す原因を作った配偶者のことを、
法律の世界では、有責配偶者(ゆうせきはいぐうしゃ)といいます。
民法が定める離婚原因の1つである「不貞行為」(民法770条1項1号)はある。
少なくとも、夫がよその女性に目移りして、結婚生活を継続できなくなっていて、結婚生活を継続するのが難しそう(民法770条1項5号)。
じゃあ、離婚訴訟では、裁判所は、離婚を認めるべきなの?
でも、不貞行為をした張本人が、自分で結婚生活を壊しておいて、離婚請求もしてきた場合にも、すんなり離婚を認めちゃって、本当に良いの?
法と正義を守るべき裁判所が、不道徳な人の味方をするような感じがしちゃうけど、本当に良いの?
浮気された妻にしたら、あんまりじゃないの?
というのが、有責配偶者からの離婚請求の問題です。
かつては、裁判所は、有責配偶者からの離婚請求を認めていませんでした。
過去の判例のうち、
有責配偶者からの離婚請求を認めないぞ!という判断をバーンと打ち出した代表的な判例に
「踏んだり蹴ったり判決」
と呼ばれている判例があります。
最高裁判所が、大変格調高い判決の文章の中で
「俗にいう踏んだり蹴ったりである。」というお言葉を使っておられるという・・・・
判断の内容が重大であることに加えて、
そういう言葉使いのおもしろさ(?!)的にも、インパクトが大きく、有名な判例の1つです。
結婚生活を継続し難いのは、夫が妻をさしおいて、愛人を作ったから。
夫が勝手に愛人を作って、そのために、妻と一緒に住めないからと、妻を追い出すという結果になる。
このような離婚請求が認められるならば、妻は、「全く俗にいう踏んだり蹴ったりである。」
法は、このような不道徳勝手気ままは許さんぞー!
ということで、有責配偶者からの離婚請求を全く許さないという姿勢でした。
ついついおもしろさ(?)から、「踏んだり蹴ったり判決」の方を長く語ってしまいましたが・・・
「踏んだり蹴ったり判決」は、現在では、判例変更されています。
現在の判例では、
有責配偶者からの離婚請求となったら、即、100%ダメ-!というわけではないという判断に変わりました。
そして、次の3つの条件を備えていれば、離婚を認めるという風に考えられるようになりました。
①夫婦の別居が、両当事者の年齢及び同居期間との対比において、相当の長期間に及んでいること。
②その夫婦間に未成熟の子がいないこと。
③相手方配偶者(離婚を求められている側。このブログの例でいえば、妻)が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状態に置かれないこと。
このように
今の判例では、
浮気をした張本人である夫からの離婚請求、いわゆる「有責配偶者からの離婚請求」については、
浮気された妻の保護や、法と正義を守るという裁判所の役目などから、ソッコー離婚OK!というわけではないものの
逆に、ソッコー100%離婚ダメー!というわけでもない。
①夫婦の別居が、両当事者の年齢及び同居期間との対比において、相当の長期間に及んでいること。
②その夫婦間に未成熟の子がいないこと。
③相手方配偶者(離婚を求められている側。このブログの例でいえば、妻)が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状態に置かれないこと。
3つの条件をクリアするかどうかを検討する。
ということを頭に入れておきましょう
あんなに長く語られちゃうと、インパクトもあるし、つい、覚えちゃった・・・と、
「踏んだり蹴ったり判決」のことも、頭に入っちゃった方もいらっしゃるかもしれませんが・・・(笑)
判例の内容自体は、変更されているので、そこは気をつけてくださいね!